「それな」を解析する

ふと思ったこと

     

「それな」とは

「それな」はもうすっかり定着した言葉ですね。

いやいや、使ってないよ! 

という人も多いかと思いますが(私も使ったことはありません・・・)、目にしたり耳にしたりする機会は多いのではないでしょうか。

「それな」はおもに共感や同意を示す語として、この5年くらいの間で爆発的に認知されました。

同時期(2015年)の女子高生流行語大賞には2位「あーね」3位「ワンチャン」4位「とりま」5位「パリピ」などがありますが、「それな」はそれらの強豪を抑えて1位を獲得しています。

ただ、他の言葉は語源がはっきりしているのに対して、「それな」の語源はいまひとつはっきりしていません。

「あーね」  → ああ、なるほどね
「ワンチャン」→ ワン・チャンス
「とりま」 → とりあえず、まあ
「パリピ」 → パーリー(パーティ)・ピーボー(ピープル)
「それな」 → 「そやな」「せやな」といった関西弁?

初出についても、「2ちゃんねる」ではないかと言われていますが定説はありません。(若者言葉は初出が不明なケースが多いですが)

しかし、私は数年に前にテレビで「それな」の存在を初めて知った時から、語源については「これしか考えられないんでは?」というものがありました。

以下で具体的な用例から「それな」の意味を分析しつつ、語源について私の考えを述べていきます。

「それな」の意味を分析する

※注意:これから述べるものはあくまで私の個人的見解です。

私が初めて「それな」の存在を知ったテレビ番組では、街角インタビューに答える2人組の女子高生のやりとりを例として取り上げていました。

質問・回答の内容は忘れていしまいましたが、やりとりの流れは以下のようなものでした。※この先以下のやりとは「例1」とします。

  1. テレビ局スタッフが女子高生に質問する
  2. ふたりの女子高生のうちひとり(女子高生A)がその質問に答える
  3. その回答を聞いてもうひとりの女子高生(女子高生B)が女子高生Aの方を向き、「それな!」とテンション高く(うれしそうに)言う

3.の嬉しそうにというのはあくまで私の主観です。それまで普通のテンションだった女子高生Bが、女子高生Aの回答を聞いた瞬間、パッと笑顔になり、明らかにテンション高く「それな!」と言った様子を見て、私は「女子高生Bにとって女子高生Aがその回答をしたのはうれしかったんだな」と感じました。この点は同じシーンを見ても、人によって感じ方は異なるかもしれません。

ただ、今回は(なるべく客観的にと心がけますが)私の主観も材料に分析を進めていきます。

1.「それな」は意見を言った人に対する同意を示す

当たり前のことですが、「それな」は人の意見に対する同意の意を含みます。
直感的もそうですが、「指示語(それ)+念押しの終助詞(な)」という語形からの容易に判断できます。

2.「それな」はポジティブにもネガティブにも使用できる

「それな」は根本的な意味が同意を示すということですので、ポジティブにもネガティブにも使われます。「例1」は女子高生のテンションの高さから(なんの根拠も提示していませんが・・・)ポジティブなものとして、ネガティブなものを「例2」として挙げます。

・ネガティブ(「例2」)
A:「やべえ、明日のテストの勉強全然してないや」
B:「俺も全然してない。朝までぶっ通しで勉強しないとマジやべえかも」
A:「でも夜中にワールドカップの日本戦あるじゃん」
B:「それな」

3.「それな」は直接の会話者でなくとも使用できる

4.「それな」には”驚き”、”意外”のニュアンスを含めることができる

「例1」で女子高生Aと女子高生Bは直接会話をしていないかったことから(会話をしていたのはテレビ局スタッフと女子高生A)、「せやな」は直接会話をしていなくとも、会話に参加しているだけ(別の人同士のやりとりを聞いているだけ)で使用できるということです。

ただそうすると、語源として候補に挙がっている「せやな」「そやな」が少し怪しくなってきます。

「せやな」と「そやな」も第三者の同意の割り込みとして使えます。しかしその場合、その第三者が”驚いた”(会話を文章にした時に「!」がつけられる)状態というのがあまり考えられません。「例1」の「それな!」を「せやな!」にとても違和感があり、関西弁で置き換えるとしたら「せや!」の方が断然しっくりきます。

このあと述べますが、”同意の割り込みとしての”「せやな」「そやな」には納得・同意のニュアンスは入りますが、”驚き”、”意外”のニュアンスがあまり入りません。(発言者がその場にいる全員に向けて話している場合は、それまでまったくしゃべっていなかった人が「せやな!」と言っても不自然にはなりません)

標準語で言えば、「そうだね」「そうだな」より「そう」の方が近いとなりますが、「そう」も「せや」と同様の理由で語源にはならないと考えます。

5.「それな」の本質

「それな」には”驚き”のニュアンスが入ることが多いですが、その”驚き”の原因は大きく以下のふたつに集約されます。

  • 自分だけが思っているのではないかと感じていた意見が、他人によって述べられる

たとえば、何人かである映画について話しているとします。
CG、ストーリー、俳優、音楽など映画の良いところについての話に花が咲きます。しかしAさんはその映画の一番の良さはエキストラの演技だと思っていました。映画でエキストラの演技に焦点が集まることは多くないし、他の人が挙げる良さももちろんわかるのでエキストラの演技には触れていませんでした。
しかし、そこでBさんが「あの映画、実はエキストラの演技がすごいんだよと」と言い出します。
Aさんにしたら共感が得がたいだろうと思ってい意見が不意に出たことになります。
その”驚き”とうれしさが「それな!」につながるのです。

  • 口にするには及ばなかった意見が、他人によって述べられる

「例2」においてBさんは、「自分は朝まで勉強しないとまずいくらいに、翌日のテストの準備ができていない」「でも夜中にワールドカップの日本戦があり、それが勉強に妨げになる(あるいはなりそう)」と考えています。しかしBはワールドカップの日本戦があることによる懸念についてはとくに言及していませんでした。
それをBさんではなく、Aさんが言ったことで、Bさんの「それな」につながるのです。

「それな」の語源はこれだ!

これまでのことから、「それな」の語源について特定することができます。

ずばり、「それなんだよな」です。

「それな」は「それなんだよな」の短縮形として考えることできます。日本のいたるところで日々使われている「それな」を「それなんだよな」に置き換えてもおそらく違和感はないでしょう。

「それな」は指示語と念押しの”な”だけというシンプルな形なため汎用性の高い言葉です。使用され続ければ意味やニュアンスも増えるかもしれません。意味そのものが変わってしまう可能性も0ではありません。

しかし個人的には、「それな」がどんな言葉に変わっても語源は「それなんだよな」と思い続けると思います。

最初はもっとライトに書くつもりでしたが、いつの間にかなんだか堅苦しくなってしまいました。。。

もしこんなしょうもない記事を最後まで読んでくれる人が仮にいたとしたら、本当にありがとうございました。きっとあなたはとてもレアな方だと思います(笑)

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